スタジオでのディストーション(記事翻訳)001

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By Paul White

Distortion In The Studio

微妙な暖かさからノイズの壁まで。歪みはエンジニアの武器の中でも最も用途の広いエフェクトの一つです。歪みとは波形に加えられる変化を指します。EQのような単純な変化でさえも厳密には歪みの一部で、EQは特定の周波数に変化を加えられるようにしたものです。しかし、一般的にはチューブアンプやクリッピングプリアンプなどのノンリニアなデバイスを音源が通過するときに発生する変化を指します。歪みを加えることによって音楽的な倍音を原音に加えることができます。アコースティック楽器の音を正確に録音しなければならない場合はあからさまな歪みを避けなければなりません。しかし、ポピュラー音楽での制作において役立つ機会は多岐にわたります。エレキギターで演奏されたブルースにしか使えないわけではないのです。

Harmonic Distortion
アナログの暖かさに関する最近の記事(SOS 2010年2月)で述べたように倍音成分は音の特徴を決定づけます。そのため、フルートの音はクラリネットのものと異なるのです。ハーモニックディストーションは原音に新たに倍音を加え、音色そのものを変化させます。偶数次倍音の歪みは音楽的で滑らか、かつ明るく聞こえる傾向があります。多くの真空管ベースの回路(トライオードを使用しているもの)は偶数次倍音の歪みを生成する傾向があります。奇数次倍音の歪みは粗い音、ザラザラした音、またはエッジの効いた音になりがちで、多くの場合、「豊かさ」と「深さ」が追加されます。テープによって加えられる歪みが代表的な例です。アナログ機器の歪みによって作成された高次の倍音成分は、ザラザラした音になりがちで、音楽的ではありません。したがって、ハイエンドをロールオフすると、耳に優しい響きを得ることができます。スピーカーは4kHz以上を素早くロールオフする傾向があるため、ギターアンプでは自然にこれが行われます。スピーカーがなければファズボックスを通した高域のギターおとは紙コップに入ったスズメバチのような音がします。オーガニックな響きの歪みをトラックに加える方法の一つは録音されたサウンドギターアンプに送り、それからマイクで録音された音をミックスに戻すことです。このテクニックは、DIを介して録音されたギターとベースのパートを「リアンプ」するためによく使用されますが、ドラム、シンセ、さらにはヴォーカルでも有意義な結果をえることができます。

Mr Speaker
プラグインであっても、Line 6ポッドなどのハードウェアあっても、ギタースピーカーのエミュレーションは実際のスピーカーと同様に機能します。ローパスフィルターの代わりに使用して、高域を調整してみてください。リアンプと同様に、ギター以外の音源にも有効です。歪んだシンセ、オルガン、またはエレクトリックピアノにも有効です。実際、ほとんどのモデリングプラグインではスピーカーキャビネットの種類を選択できるため、この手法はリアンプよりも柔軟です。すべてを試し、自分のパートに最適なサウンドを選択してください。