パッドの作り方と使い方(記事翻訳)003

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Mixing Pads
適切に音が作られているのであればミックスの際に特別何か処理をする必要はないでしょう。特に温かい印象のシンセサウンドはリバーブやディレイの処理をしなくてもトラックの背景に溶け込みます。実際、このようなエフェクトを追加するのは賢明とは言えません。エフェクトの効果によってコード変化の際に音がにごりやすくなる傾向があるためです。また、リスナーに聞かせたくないパッドの存在がバレてしまう可能性もあります。とはいえ、ミックスに馴染んでおらず、多少の広がりが必要な明るい響きのパッドに対して短めのリバーブを使用することは考えられます。ピンポンディレイは、リズミカルなパッドにかけると便利で、リズミカルな複雑さが増します。

トラック内でのパッドのバランスを取る際に、落とし穴がないわけではありません。近年、シンセパッドの音をミックスの中ではっきり聞こえるようにしたいと思う人はまれです。なので、バランスを取る際に最も大きな課題はパッドを可能な限り耳から遠ざけることです。この点でパッドをミックスする際のアプローチは現在、リバーブに対して行われているものと共通しています。「聞こえたならば大きすぎる!!」というのが現代的な考え方です。

フェーダーオートメーションの活用は非常に効果的です。薄いパッドが聞こえてしまう箇所ではフェーダーを下げ、コーラス(サビ)のように広いステレオイメージと温かみが必要な箇所ではまたフェーダーを戻します。コーラスに向けてゆっくりとパッドのレベルを上げてゆくとコーラスに向けての盛り上がりを演出できるでしょう。もちろん、EQもわすれてはなりません。特に元の音源のセットアップに関わる機会がない場合には重要です。経験上、パッドの200Hz未満の帯域はミックスを曇らせてしまうため、役に立つことはありません。ローエンドをクリアに保つためにハイパスフィルターを使用します。ディストーションは必要に応じてパッドの倍音の密度を上げることができます。ただし、デジタルのビットクラッシャーには注意してください。しばしば不協和なデジタルエイリアスが発生し、パッドのハーモニーを損なう可能性があるためです。同様に、リングモジュレーション/アンプリチュードモジュレーション/周波数モジュレーションなども同様にさけたほうが望ましいでしょう。エフェクトによって追加された帯域がパッドと衝突してしまうためです。

A Pad For All Season
80年代の安っぽいサウンドの蔓延は当然のことながら、シンセパッドの評判を落としました。しかし、現代的な音楽の多くにおいて入念に処理されたパッドが必要なこともまた事実なのです。

Audio Examples
記事で説明した様々なパッドがどのように聞こえるかを別の記事にまとました。是非アクセスして聞いてみてください。

 

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