コンプレッション概要(記事翻訳)4/5

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Why Attack & Release Matter
ここまでは、簡単に処理できるパラメーターを扱ってきましたが、アタックタイムとリリースタイムのに関しては、多くの初心者が混乱します。それでは、これらのコントロールの目的を説明するために、バランスの例について改めて考えてみましょう。アコースティックギターのストラムの入った曲ミックスしているとしましょう。きれいなサスティンがミックスで適切なレベルにある場合にはうまく機能しています。しかし、コーラスに入ってプレーヤーがより大きな音で弾き始めるとフェーダーを下げる必要性に気が付きます。「コンプの出番だ!!」と思うでしょう。しかし、実際に使ってみると曲のセクション間のレベル差を減らすだけでなく、アタックとサスティンの間に存在する短いレベルの差をなくそうとしていることに気が付きます。全体的なバランスの問題は整理できますが、ストラムからエッジを奪う、もしくはサスティンが強調されすぎるといった対価を支払う必要がありそうです。アタックとリリースは、コンプレッサーのゲインリダクションが入力信号レベルの変化に反応する速さを決定することで、この問題に対する改善策を提供します。前者は、ゲインリダクション時のコンプレッサーの反応速度を指定し、後者は、ゲインリダクションのリセット速度を指定します。さきほどの例でコンプレッサーが要求された仕事をしていないのは、信号レベルの変化に対して反応が速すぎるためです。つまりアタックとリリースの設定が短すぎるのです。これらを増やすと、コンプレッサーの反応が遅くなり、このバランス問題をより効果的に処理できるようになります。短期的なもの(個々のストラムのトランジェントとそれらの間のギターストリングのリンギングなど)ではなく、長期的なレベルのバリエーション(ヴァースとコーラス間の変動など)に作用するためです。これらのコントロールの単位を見ると、ミリ秒単位で表されていることがわかります。まれに、マイクロ秒と整数秒もあります。ただし、レシオの場合と同様に、正確な数値に過度に固執することはお勧めしません。その数値はそのコンプレッサーが実際にどのように反応するかについての大まかなガイドに過ぎないからです。重要なのは耳でアタックとリリースのコントロールを調整し、音楽的な要素に与える影響を最小限にしながら最高のバランスを見つけることに集中することです。ここでは、コンプレッサーのゲインリダクションメーターが非常に優れた視覚的ガイドになるでしょう。どの程度の圧縮が適用されているかだけでなく、変化の速さも示してくれます。穏やかな設定の場合、変化は微妙であるため、メーターから得られる視覚的なフィードバックは、セットアップに非常に役立ちます。

Snare Compression: Three Different Settings
アタックとリリースを個別に調整できることにより、対処できる範囲は大幅に広がります。別の例を見てみましょう。スネアドラムのバックビートです。アタックタイム速く設定すると、コンプレッサーはつかの間のトランジェントの頭に素早く反応し、ゲインを素早く低下させます。 その後、リリース時間を非常に速く設定し、ゲインリダクションも急速にリセットするようにすると、ドラムヒットのテールのレベルの低い部分がそれほど圧縮されないようになります。こうすると、スネアの音全体にしめるトランジェントの影響を小さくすることができます。

一方、速いアタックと遅いリリースを組み合わせると、ドラムヒット中にゲインリダクションはほとんどリセットされず、ヒットとヒットの間でリセットするため、ドラムのトランジェントとサステインのバランスはほとんど変化しません。この場合のコンプレッサーは、各ドラムヒットのレベルをより均一にする役割を果たしています。アタックタイムを長くすると、トランジェントの一部がコンプレッサーをすり抜け始め、ゲインリダクションが抑制されることがわかります。これにはトランジェントと残りのスネア音のレベル差を効果的に増加させる効果があります。アタックとリリースのコントロールにより、3つの異なる結果を同じ得ることが可能になりました。

・トランジェントを抑える
・レベルを均一にする
・より大きなトランジェント

この機能は初心者を混乱させるものであり、目的に当てはまりそうなプリセットがしばしば望んだ仕事をしない理由の1つでもあります。「Snare」プリセットがドラムのトランジェントを低減するように設定されている場合、ミックスでさらなるトランジェントを必要とする場合は役に立ちません!