バンクーバーのナイトライフの新しい楽しみ方

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土曜夜のネオンの光であふれたグランビルストリートは、多くの酒好きであふれる他の街と大差なくにぎやかだ。人々は酒という潤滑油を飲み、所狭しと並ぶバーからバーへとピンボールのように移動する。台の修理が終わるのを待つ酔っ払いは、安いピザ屋の前で薄いスライスを頬張る。次のショットまでー。

 

しかし、バンクーバーの人が誰しもこうだというわけではない。近年、カナダ西部最大の都市はナイトライフシーンを大きく発展させた。単に酔っ払う以上の体験がそこにはある。

 

Right type

インディー達が愛するメインストリートにある "Regional Assembly of Text"バンクーバーで最もクールな文房具店だ。 手作りの筆箱とアートプリントTシャツが並ぶこの店は、フリーエントリーのLetter Writing Clubが開催される、毎月第一木曜日の午後7時になると特に人が集まる。参加者達はお茶を飲みながらおしゃべりをし、校正のヒントを交換してゆく。そして、店内の古びたタイプライターをたたき、堅苦しい手紙を書く。

 

もし、別の方法で手首を使いたいならダウンタウン”Pub 340”がおすすめだ。

常連客は安いビールとライブバンドを目当てにここを訪れるが、ここはバンクーバーで最も大きいピンボールルームのひとつでもある。1ダースほどあるテーブルのどれかに掛け、ビールを片手にボールを弾く指を確かめるといいだろう。1980年代のビデオゲームコンソールもある。

 

Bar none

Granville Streetにあるバーに行くのは主流の酒好きだ。しかし、バンクーバーにはニッチを魅了する店ももちろんある。毎月第3水曜日には、歴史的なギャスタウンのSteamworksの奥の部屋に行くと、人気のGreen Drinks Socialに参加し、バンクーバー周辺をテーマにした討論に参加できる。もし、この街についてあまり知らないのであれば、自転車専用車線や公共交通の乗り継ぎ運賃について聞いてみるといいだろう。Steamworks自家製ビールもお忘れなく。オートミールスタウトがおすすめ。

 

ブリティッシュコロンビアクラフトビールルネッサンスをより深く掘り下げたいマイクロブリュワリーファンのために、定期的にタル入りビールイベントを開催するバーもある。月曜のSt Augustine’s、日曜の午後のThe Whipは要チェック。地元で評判の高いマイクロブリュワリーに直接訪れるのもいいだろう。Brassneck Brewery33 Acres Brewing CompanyPowell Street Craft Breweryなどがおすすめ。

 

ダウンタウンの伝説的なRailway Clubも見逃せない。オールドスクール2階のパブでは火曜日にCask Nightが開催される。また、ここではインディーズバンド、コメディ、ポエトリーリーディングといったジャンルレスなライブを楽しむことができる。他にはCommercial DriveCafe Deux Soleilsも要チェック。

 

Fox Cabaretに行けばまた違った体験できる。この元のポルノ映画館は、Main Streetのライブ会場として生まれ変わった。毎週日曜日のコメディナイトが非常に人気。Biltmore Cabaretバンクーバーで人気のイベント会場の1つ。毎週開催されるKitty Nightsは、下品さを排したバーレスクと粋なコメディーの組み合わせ。格子柄のシャツを着たヒップスターとヴィンテージドレスをまとった彼らのガールフレンドを魅了するバンクーバーの週末の最もホットなイベントだ。

 

もう少し清潔な夜を過ごすならBiltmoreで毎月開催される "Ice Cream Socials"がいいだろう。50年代と60年代の音楽と年代物の洋服を身にまとった地元の人々がそこには集まる。

 

Culture crawl

さらに高尚なナイトライフの楽しみ方をお探しであれば、街のアートスペースがいいかもしれない。Vancouver Art Galleryでは、定期的に夜の社交会(特定の金曜日)を開催している。古いドーム型の会場が、ナイトクラブ、バー、ライブパフォーマンとなる。また、風変わりなギャラリーツアーが開催されることも。

 

市内で最もジャンルレスな独立系ギャラリーもいいかもしれない。Hot Art Wet Cityは数週間ごとに展覧会が開かれる。最近では自転車のサドルアートや見るに堪えないティーンエイジャーの絵画展が行われた。このギャラリーではドローイングのワークショップやコメディーショーなど、夜の魅力的なイベントも運営している。家族連れにおなじみのScience Worldでは、日中こそ子供で満員になるが、四半期ごとに大人向けのパーティーナイトが開催され、オムニマックス映画館やハンズオンパズルのテーブルがドリンクとクラブのような雰囲気で満たされる。

 

Last orders

Vancouver Ukulele Circleは、毎月ジャムセッションを開催している(基本的にはKitsilanoにあるSt. James Hallが会場)。プロの演奏を見るのもいいし、自分のウクレレを持ってもいい。ときにはセッションに参加することさえできる。この寒い北部の気候から考えると、最も似つかわしくない楽器かもしれないが・・・。

 

もし、それが明るすぎるならモルグはどうだろう。Vancouver Police Museumはかつて検視が行われていた建物にあり、市内でも有数のアトラクションだ。月に一度(夏のピークを除く)、古い遺体安置室の独特の雰囲気の中で映画が上映される(悪趣味だと言わないで)。指紋採取や弾道学などのトピックに関する追加の夜の講義も魅力的。

 

Penthouse nightclubに行けば温かな人体を見られるだろう。バンクーバーに残っている数少ないストリップバーの1つであるPenthouseは、かつてフランクシナトラやサミーデイビスジュニアを含むハリウッド映画スターのたまり場だった。最近始まった歴史家による舞台裏ツアーでは目を見張るほどカラフルな過去について学び、最後はバーレスクスタイルのキャバレーショーで終わる。 非常に人気なので要予約。

 

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バンクーバーで行くべき8つのマイクロブリュワリー2/2

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5. Off the Rail Brewing

 

このEast Vancouver醸造所はClark DriveEast Hastings Streetの交差点からほど近い、現在都市化しているエリアの古い工業ビル跡にあります。この店の素晴らしい点はアートが並ぶ2階のテイスティングルーム”Off the Rail”で常連客とともに居心地のよい時間を過ごせることです。

店には深いコクの定番とごく少量バッチしか作られないビールが並びます。どれにするか決める前にスタッフは快く味見させてくれるでしょう。The “Raj Mahal India Ale”は一度は飲んでみるべきでしょう。また、シルクのような”Nut Brown Ale”に失望することはないはずです。

 

6. Strange Fellows Brewing

トラックの交通量が多い幹線道路沿いに位置するStrange Fellowsは一見その場所にふさわしくないように見えますが、もしそこにブリュワリーがあれば酒好き達がが集まって来ることを証明しています。黒い壁に高い天井のテイスティングルームでは、地元のベテラン醸造家、Iain Hillの熟練の目によって作られた8種類のビールを楽しむことができます。

リストには、売れ筋の"Talisman West Coast Pale Ale" から野心的なサワービールまで、あらゆるものが含まれています。  サワーが何かわからない? ヒルの”Roxanne Sour Raspberry Grisette”を飲めばリラックスした気分になるでしょう。冬にこの店を訪れるなら、官能的な”Dark IPA”がおすすめ。まるで毛布に包まれているような気分を味わうことができます。ただし、飲み過ぎには気をつけて。壁に取り付けられたマスクがあなたに話しかけ始めたら、お開きにしたほうがいいでしょう。

 

7. Powell Street Craft Brewery

カルトから愛されるこのブリュワリーは開店後すぐにより大きな敷地に移転しなくてはなりませんでした。サワービール(”Amarillo Sour”がおすすめ)はここでも飲むことができます。強烈な”Old Jalopy Pale Ale”と滑らかな”Dive Bomb Porter”で有名。この2種類は定番で、週末にテイクアウトを求めて店を訪れるバンクーバーの人々の目当てのビールです。

Powell Streetのボトルラベル(ゴーグルをかけたカラスを含む)は、にぎやかなテイスティングルームの壁に飾られており、ここに息づく芸術的な伝統はPowell Street Craft Breweryがかつてあった場所に移転してきてたマイクロブリュワリー、Doan's Craft Brewingにも引き継がれています。Doan's Craft Brewingの作るAmerican Rye Stoutはブリティッシュコロンビアビール賞を受賞しました。

 

8. Callister Brewing

 

スツールから移動せずに醸造所探検を行いたい場合は、Franklin Street近くにある赤い外観が目印のCallister Brewingを訪れると良いでしょう。ここでは市内で最も革新的な製造方法を採用しており、彼らは自らのことを「カナダ初の共同醸造所」と呼びます。

2015年にオープンしたこの醸造所にはまだピカピカの醸造施設とまばゆいコンクリート床のテイスティングルームがあり、4つの異なるマイクロブリュワリーが共用しています。その結果、大きなバー以上に多種多様なビールを飲むことができ、ビールのリストは絶えず変化します。

 

Boombox Brewingの”Ultra Deluxe IPA”は特におすすめです。Real Caskのタル入りビールも見逃しなく。彼らの”Best Bitter”に間違いはありません。

 

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ハーフタイムショーのマーチングバンドに対する批判

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Maroon 5Travis ScottBig BoiによるSuper Bowlのハーフタイムパフォーマンスでマーチングバンドが共演し、Maroon 5 "Girls Like You"の導入部分でパフォーマンスを披露した。2016年のハーフタイムショウでビヨンセが同様にマーチングバンドをパフォーマンスに組み込んだことは記憶に新しい。しかしながら、この2つの公演の大きな違いがある。それは、今年参加したドラマーのほとんどが白人だったということだ。

 

この人種的多様性の欠如について、多くの人々が即座にツイッター上でコメントした。今シーズンのスーパーボウルアトランタ(国内でも有数のHBUCを抱える)で主催されていることを考えると、それはあまりに配慮に欠ける決断であるといえる。

 

HBCUとは:

アフリカ系アメリカ人の子孫の学生を教育するために設立された大学のこと

 

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バンクーバーで行くべき8つのマイクロブリュワリー1/2

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バンクーバークラフトビールのシーンは注がれるピルスナーよりも泡立ち、近年では新しいクラフトビアやマイクロブリュワリーが続々登場しています。多くの店舗はバーのようなテイスティングルームを併設しており、地元のビールファンのようについつい飲み過ぎてしまうこともあるでしょう。以下は市内の2大ビール地区、イースバンクーバーと歴史的なビール醸造エリアであるメインストリートにあるおすすめの店舗です。

 

1. Brassneck Brewery

のどの渇きを和らげてくれるバンクーバーの人気店舗。メインストリートにあるこの醸造所は、操業最初の6カ月間で50種類以上のユニークなビールを生み出しました。細長いテイスティングルームの再生木材で作られた壁には穴があいており、生産工程を(通りに置かれた黒板メニューのチョークほどの曖昧さではあるものの)のぞくことができます。席に座りたいのであれば、午後の訪問がおすすめです。

この店には常に新しい種類のビールがあるため、”Four-Beer Tasting Flight”は、大きなグラスを注文する前の理想的なスターターとなるでしょう。フラッグシップの”Passive Aggressive Dry Hopped Pale Ale”はお見逃さないように。滑らかな口当たり、ホップの香りとさわやかさの完璧な組み合わせです

 

2. Main Street Brewing

数十年前に閉鎖された古い醸造所跡に2014年にオープンしたMain Street Brewingはこの地域におけるエール生産のかつての中心地であるBrewery Creek周辺にビール作りを取り戻しました。周辺にいくつかテイスティングルームがあり、この地区でブーズクロール(飲み歩き)を始めるにあたって最適な店舗です。

メインストリートにあるテイスティングルームは古い工業製品の寄せ集めのような内装です。木がむき出しの高い天井、打ちっぱなしコンクリートの床に高いスツール。それはまるで工場の食堂のよう。定番、シーズナルに加え絶えず変化するタル入りビールのメニューもあります。”Old Knights Pale Ale”は完璧なバランスと心地の良い刺激を伴う口当たり口当たり。“Naked Fox IPA”と”UK-style Westminster Brown”が特に人気。

 

3. 33 Acres Brewing

白壁のスカンジナビア風の外観と地域のハイテク企業に勤める人々のたまり場として評判の33 Acres Brewingはバンクーバーで最も忙しいテイスティングルームの1つです。席に座りたければ、午後8時以降に訪れるのがいいでしょう。

創業以来、同社の"33 Acres of Life full-bodied lager"と"33 Acres of Ocean pale ale" が主力商品でしたが、この店をよく知る地元の人々はシーズナル商品を求めてここを訪れます。街で人気の人気のあるいくつかのテイスティングルーム同様、外に食欲をそそるフードトラックが停車していることもしばしば。客はトラックで注文して自分の食事をテーブルの中に持っていても構いません。

 

4. Faculty Brewing

このオリンピックビレッジの店には、隠れ家的な雰囲気があります。特に外の街灯で照らされる暗い夜にはその雰囲気が一層際立ちます。かつて工場であふれかえっていたこの地区の人々はビールタンクに面したスツールとこの店自慢のビールを目指してここを訪れます。

 "408 Chinook Pale Ale"はもちろん素晴らしいですが、 "710 Oaked Stout"はビロードのような舌触りで危険なほど簡単に滑り落ちてゆきます。バンクーバーのお土産を探しているならこの店のビールのテイクアウトは理想的です。二日酔いの治療が必要ですか? いつものArgo Cafe dinerもすぐ隣にあります。

 

 

ブリガデイロの歴史

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ブリガデイロは表面をブラジルの伝統的なお菓子である。コンデンスミルク、バター、ココアパウダーと、表面を覆うチョコレートスプリンクルでできている。

 

1945年、第二次世界大戦直後のブラジルは大統領選挙の真っ只中だった。候補者のEduardo Gomes准将(准将は当地の言葉でbrigadeiro)は「ハンサムで独身の准将に投票しよう!」 というスローガンで特に女性からの支持を集めた。

 

彼の忠実な支持者たちは資金集めのためのパーティを開き、さらなる支持拡大を目指した。彼女たちは一般的な選挙応援商品を販売するのとは対象的にキャンディーを作り、ミーティングで売ることを計画した。しかしながら、終戦直後の国内には牛乳と砂糖が著しく不足していた。そのため、代わりにコンデンスミルクを使い、バター、チョコレートと混ぜることにした。

 

これが「准将(Brigadeiro)のキャンディー」として認知され、選挙期間中に有権者からの票を集める目的で販売された。そのキャンディーは人気を得たものの、最終的にEduardo Gomesは大統領に選出されなかった。

 

50年台になると名前がブリガデイロに省略され、国中に広がり、今でも人気を集めている。

 

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Neutron Elements

音楽関連のセールも一段落した。ほとんど買い物はしなかったが、ほぼ無料でもらったiZotope Neutron Elementsは非常に便利だった。EQについているLearn機能が手っ取り早くポイントを教えてくれるのでそれをもとに方針を決めることができる。EQポイントをNeutronで教えてもらって最終的には他のEQプラグインに置き換えている。

 

一方で、EQ以外の機能はあまり使いたいと思えるものではなかった。

 

おそらく、一番のウリはTrack Assistantだと思うのだが残念ながら自分の制作にはあまり活かせそうになかった。これはアルゴリズムがなにの音かを判別してそれに適したセッティングを提案してくれるというもの。自分が最も多く取り扱うのはシンセサイザーの音で、それらは概ねアルゴリズムによって「その他」に分類される。そこで提案されるのは当てにならないチェインばかりだった。この機能は現状でも生楽器を中心にMIXする人には便利なのかもしれない。

 

もし、この機能が便利であればアップグレードも検討したかもしれないが、そうではなかったのでElementsのままEQのLearn機能のために使い続けようと思う。

 

アップグレードによって使うことのできるマスキングメーターは便利そうではあったが、現状使用方法では手間がかかるように見えた。この機能がDAWと統合されるような時代が来ればまた一段と便利になるのではないかと感じた。例えば現在、Cubaseを使用しているが、各チャンネルのEQにこの機能が搭載されれば余分なプラグインを使用することなくMixの状態を知ることができる。非常に小さな1ステップなのだが、それが積み重なるとなるとどうしても重く感じられてしまう。

 

ほぼ、無料でもらっておきながら文句ばかり言っているが、EQ Learn機能だけでも十分元の値段の価値はあると思う。実際にこれのおかげでかなり作業のスピードは向上している。作曲におけるAIの活用はまだまだ始まったばかりだと思う。時間がたつに連れてより良い製品が出てくることを祈っている。

22/7楽曲の男声コーラスは今後どうなるんだろう?

私は広く言われる「2次元アイドルコンテンツ」を長らく愛してきた。最初に出会ったのが「アイドルマスター」でその後にGREE時代の「アイドルマスターミリオンライブ」そして「Tokyo 7th シスターズ」をプレイしてきた。それらが好きだった理由は音楽にある。特にアイドルマスターシリーズのゲーム音楽作家が手がけるポップミュージックは私にとって新鮮で刺激的に聞こえた。

 

一方で現実のアイドル(例えば乃木坂46のような)にはあまり詳しくなかった。CD屋に行けば新曲を聞いていたし、いい曲だと思うものもたくさんあった。でも、「CDを買って握手会に行こう!!」という感じでもなかった。あくまでも2次元アイドルが興味の中心だった。

 

しかし、22/7ナナブンノニジュウニ)のファンになって以降、その境界は曖昧になってきた。22/7とは秋元康総合プロデュースによる「デジタル声優アイドルグループ」だ。少なくともメンバーが自分たちについて話す時はそう名乗っている。アイドル・声優として活動するメンバーが11人、それぞれ演じるキャラクターが11キャラ存在し、実際のライブではメンバーがパフォーマンスをする。MVなどでは3Dポリゴンのキャラクターが歌い、踊る。そして、MVのポリゴンモデルのダンスは声優自身がをモーションキャプチャーを使いキャラを動かす。

 

2次元アイドルで3Dモデルが踊る最も有名な作品は「ラブライブ!」シリーズだと思う。「ラブライブ!」で例えると、内田彩さんが南ことりちゃんの声だけでなく、アニメーションの中のダンスも踊るという感じ。

 

こういうふうに説明をすると22/72次元アイドルの箱に入れてしまってもいいような気がする。しかし、そうはいかないのが「秋元康総合プロデュース」であるということ。付け加えるなら、Sonyグループと秋元康によるプロジェクトであるということだ。この組み合わせは乃木坂46や欅坂46と同じだ。

 

いちファンとして、私は22/7が「坂道シリーズ」の流れを受け継いでいると感じている。そして、それが色濃く反映されているのが楽曲の作り方だと考えている。

 

「理解者」は私が22/7のファンになろうと決心した楽曲だ。しかし、2次元アイドルが興味の中心にあった私にとって、この曲には違和感を感じるポイントがあった。それが、特にサビで聞くことができる男声コーラスだ。アニメ系の女性ヴォーカル曲でここまで男声であるということが聞き取れるようなコーラスをトラックに使う機会は極めて少ないと思う。男声コーラスを楽曲に取り入れる大きなメリットは楽曲全体に厚みを出すことができる点だ。女性ヴォーカルではカバーできない帯域を男声で埋めるイメージ。アニメ系女性ヴォーカル曲でも聞き取ることが難しいレベルで男声が使われていることもあるので「全く使われていない」とまでは言わないが、聞き取れるレベルで活用することは意図的に避けているような印象を個人的には持っている。

 

一方で「坂道シリーズ」に目を向けるとこの男声コーラスはいたるところで使われている。珍しいものでも何でも無い。

 

 

サビの部分での楽器構成が「理解者」と比較的近いため、この曲を選んだ。イヤフォンで聞いたときにサビの部分で左右に広く男声コーラスが使われているのが聞き取れると思う。これがSonyグループと秋元康が考えた今のアイドル曲のベストなバランスなんだと思う。22/7はその「坂道シリーズ」で培ってきたアイドル曲の音像を引き継いでいる。Sonyグループが包括的にマネージメントを行っている声優のプロジェクトは別にTrysailなども存在するが、こちらはアニソン寄りの作りだ。それを考慮すると22/7の音はSonyの音である以上にSony秋元康の音といえると思う。そして、それが端的にあらわれているのが男声コーラスであるというのが個人的な考え方だ。

 

個人的には現状で22/7のファンは「坂道シリーズ」を始めとするアイドルファンの割合が高いと感じている。それは、声優・アイドルとして活動している11人のメンバーが全員かわいらしく、魅力的であるということや、プロデュースに対するファンの信頼もあってのことだと思う。しかし、22/7が「坂道シリーズ」と違う点はすでにアニメ化が決定しており、今後よりアニメや2次元アイドルを支持する層に対して訴えかけてゆくということだ。

 

先に述べたとおり、2次元アイドルファンであった私は最初、22/7の楽曲に対して違和感を感じた。恐らく、アニメファンや2次元アイドルファンは意識的、無意識的にこの音作りに違和感を感じると思う。2次元アイドルの楽曲は例えば以下の曲のように誰が(作られた空間の)どこで歌っているのかということが明確に察知できるように作られている事が多い。

 

 

この楽曲も「理解者」とサビの楽器構成が比較的近いので選んだものだ。歌唱人数が3人の曲と8人の曲の比較になってしまったがヴォーカルの聞こえ方は先の2曲と大きく異なって聞こえるのではないかと思う。

 

22/7でその独特の音像に慣れた今でこそ、私も坂道シリーズの楽曲を頻繁に聞くようになったが、かつて乃木坂・欅坂ファンになりきれなかった要因の一つがヴォーカルの使い方にある。メンバーのことを知らない状態で聞いたときの「集団が歌っている」というイメージ。それにさらに男声コーラスをかぶせてくるとなると結構な違和感を感じることになる。「理解者」のサビもそう聞こえると思うのだが、2次元アイドルファンからすると誰が歌っているのかがわからないという状況はどうも落ち着かない。

 

今、私が「坂道シリーズ」の中で最も聞く機会が多いのがけやき坂46(通称:ひらがなけやき)の楽曲なのだが、ひらがなけやきが「坂道シリーズ」の中で最も入り込みやすかった要因の一つがメンバーの一人、齊藤京子さんの歌声にある。齊藤京子さんは現代のアイドルの水準からするとかなり個性的な(もちろんポジティブな意味で)歌声の持ち主で、彼女が歌っているということをリスナーは絶対に理解することができる。歌っている人の顔が思い浮かぶ。そこに安心感がある。

 

2次元アイドルの楽曲制作は実在しない人物(キャラクター)の個性を最大限強調するためにグループで歌う楽曲でもソロで歌いまわしてゆく機会が多い。そして、ファンは知らない内にそれに慣れてしまっている。あるいはそれが当たり前だと認識しているのではないかと思う。そちらの側に立てば22/7の楽曲はまだまだ歌っている人物の顔が見えづらい作りになっている。

 

もちろん、22/7も過去にリリースした3枚のシングルの中で変化していっている点はある。デビューシングル「僕は存在していなかった」のレコーディングに参加した8人は2人づつブースに入りヴォーカルを収録した。ソロでの声の個性が要求される2次元アイドルでこういったレコーディングを行うことはよほどの意図がない限り行われないだろう。

 

一方、最新シングル「理解者」ではポエトリーリーディングをサビに挿入することによって個人の声が聞き取れる作りになっている。ポエトリーリーディングそのものは「坂道シリーズ」的な要素でもあるが、彼女たちの声優としての活動や朗読会といった活動を経ての成果とも捉えられる。また、カップリング曲「韋駄天娘」で初めて11人(メンバー全員)がAメロからBメロの終わりまでソロを回すということも行った。

 

リリースごとに確実に変化、アップデートされている22/7の楽曲は今後アニメファンに訴えるにあたってどのように変化してゆくのだろうか?「坂道シリーズ」の音像を受け継いでゆくのか、より2次元アイドルの方向に舵をきるのか、その中間の良いポイントが見つかるのか。それは今、私が22/7に対して最も注目している点だ。