Boz Digital Labs The Wall

最近お気に入りのリミッターに出会ったので、まとめてみました。

 

 

Boz Digital LabsのThe Wallです。フリーのデモもあるのでDLしてみてください。

http://www.bozdigitallabs.com/product/the-wall/

 

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はじめに

あらかじめお伝えしておきたいのは僕がダンス系、Hip-Hop系の音を好んで作ること、オーケストラやバンド系の曲は(その要素を使用することはあっても)ほぼ作る機会が無い人間ということです。様々なスタイルによって、好みは多々あると思いますので念のため。

 

Smooth and Aggressive

面白い機能がたくさんあるリミッターで、まず特徴的なのがSmoothモードとAggressiveモードがあること。

二つのモードの比較用の音源を用意してますので比べてみてください。The Wall以外のリミッターとの比較のためにInvisible Limiterをかけたものも準備しました。リミッターに入れるまでのセッティングはすべて同じで、RMS最大をCubaseのメーターで-9.6dbでそろえてあります。リダクションは1db程度です。そんなに激しくかけていません。オーバーサンプリングは×8、ソースはHip-Hop系のトラックです。

 

The Wall Smooth

 

The Wall Aggressive

 

Invisible Limiter

 

 

マニュアルによると、Smoothはどちらかというとあまりパーカッシブではないソースに適しているようです。今回のソースにおいてリミットしなくてはならないのはキックの音なので、どちらかというと適していないモードのようです。確かに、他のものと比べるとSmoothにかけたものはキックの音量感が弱くなっているような気がします。一方で、ソースの空間の感じは最もキープしてくれています。

 

Aggressiveはよりパーカッシブなソース向けのようで、リミットするべき対象がドラム、パーカッションだった場合においてより適したモードのようです。3つの中で、最もキック、スネアの印象が強く出ているように感じます。一方で、空間の感じは失われているようにも感じます。また、後半部のリード音が入ったときにディストーションの感じがきついです。この辺りはトレードオフ、というか好みの問題なのでしょうね。

 

大変、個人的なことを申し上げると、今回のソースに関してはSmoothのほうが好きでした。サイドの印象が保たれていることと、この音源に関してはそんなにキック、スネアがでかくなくてもいいと思ったのが理由。

 

Flavor機能

ソースにより適したセッティングにするためのモードです。アナライザの下にある横スライダがそうですね。左に動かすほど、リリースが遅くなり、よりコンプレッションがかかるようです。逆に右に動かすとリリースが早くなり、よりディストーションがかかるようですね。今回はいずれも50%でセッティングしています。かかり方の印象が替えられるのは非常に便利です。

 

 

MFiT機能

これがめっちゃお気に入り!!DAWでそのまま圧縮フォーマット(mp3, aac)で書き出すときに、書き出した波形を後から見てクリップしていることは結構ありますが、これはそれを防いでくれます!!MP3で書き出す機会も多いのでほんと助かる。

使用する際はOutputを-1dbにしてオーバーサンプリングを×8に使用します(右上のMFiTボタンをおすと自動的にそうなる)。試しにCubaseのメーターでRMS最大-7dbくらいになるまで入れてみましたが、しっかり-0.3dbで止まってました。他のリミッターでこれくらい入れてmp3で書き出したら間違いなくクリップしてると思うのですが、安心して(音圧を上げたい方は)上げることができます。

 

 

最後に

こんな記事を書いてる人間が申し上げるのも何なのですが、僕自身はリミッターにがんがん突っ込むのがあまり好きではないのです。RMS最大値も-10dbもあれば十分だろうと思ってます。しかし、これは自分の好みでした。特にMFiT機能は重宝するだろうと思います。あとは2MIXの最後ではなく、制作の際に各トラックにインサートしてみたのですが、それも良かったです。原音のに対しての忠実さで言えばInvisible Limiterのほうが優れているのではないかと思ったのですが、The Wallの嘘くさい感じがシンセに入れてたときにとっても良かったです。また、オーバーサンプリングを×8まで上げても軽いです。