ディストーションとサーチュレーションの違いはなんですか?(記事翻訳)

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1.サーチュレーション、ハーモニクスディストーション、オーバードライブといった用語はどのように区別されるのでしょうか?これらは呼び方が異なるだけで同じようなものなのでしょうか?

2.どういった場面でどれをどのように使えばよいのでしょうか?

3.音を聞く以外に、DDMFのPlugindoctorのようなものを使用してこれらの効果を測定する方法はありますか?

4.歪みを効果的に活用するために参考となる音源、リファレンストラックはありますか?

5.ミックスに歪みを使いすぎているかどうか知る方法はありますか?

質問者 Pat Autrey

-A
これらの用語のいくつかについては科学的に定義されていますが、音楽の制作現場ではそれらの境界は曖昧です。一般的に歪みは音の波長を変更するプロセスによる結果であり、原音に新たな周波数成分を追加します。ディストーションエフェクトなどを使用し、原音に対応して新たに生成された周波数成分をハーモニクスと呼びます。サーチュレーション、オーバードライブ、ファズはそれぞれ歪みの程度(フレーバー)を表現するために用いられます。この3つではファズが最も過激、サーチュレーションが最も軽微な変化です。また、オーバードライブとファズの中間に歪みの程度を表す意味でディストーションという単語が用いられることがあります。サーチュレーションエフェクトは変化が軽微でも周波数成分を追加し、原音のダイナミクスにも影響を与えます。変化が過度ではなくともサーチュレーションは歪みエフェクトの一部であることを理解しておく必要があります。

この説明では曖昧に聞こえるかもしれません。さまざまなプラグインの歪みとダイナミクス特性を技術的に測定および定量化する方法は確かに存在します。しかし、そのような測定は歪みの効果を最大限に活用する方法を学ぶ際には実用的ではありません。

ではこれらのエフェクトをミックスで使用する場合にはどうすればいいのでしょうか?理解しておかなければならないのは歪みは主観的な音色を調整するための手段であり、技術的な理由で用いられることがないという点です。なので、最終的にいい悪いの判断は各々に委ねられます。それゆえ、何がいいリファレンストラックであるかをここで示すことは簡単ではありません。一人ひとりが歪みの量と種類について自分の意見を持っていますし、アーティストやジャンルによっても傾向は異なります。自分の取り組む楽曲に合わせたリファレンストラックの選択を自らが行わなくてはなりません。リファレンストラックさえ決まれば、それと比較して歪みを使いすぎているかどうかを判断することができるようにうなります。

歪みエフェクトを選択する際、手当たりしだいに試してゆくというのは非常に時間がかかります。よって、それぞれの歪みの効果をある程度理解しておくと良いでしょう。例えば、複数のチューブ系エフェクトを使用するとチューブの歪みの傾向がわかるはずです。そうすれば、また新しいチューブ系エフェクトを試すことになったとしても、それがどのような変化を加えるのかという大まかな見当がつくようになるでしょう。また、異なった歪みの種類を新しく試してみたい場合にはあまり見慣れないデザインのものを試してみると良いでしょう。これを繰り返すことで、自分の歪みエフェクターのライブラリを構築することができ、所有している中でどれがどの状況で最適かを理解できるようになるでしょう。

私の場合、VoxengoのTube Amp、KlanghelmのIVGI、GVSTのGClip&GRect、MokafixのNoAmp、ToneBoostersのReelBus、SonimusのBritson&Satson、IK MultimediaのAmplitubeのストンプボックスギターアンプシミュレーターをミックスで使用するようになりました。試行錯誤により、それぞれのプラグインの出す音と役に立つケースについての考察を深めてきました。今では、与えられた状況でどれを使うべきなのか推測することができます。結果として、ワークフローは高速化されました。もちろん先に挙げたプラグインのどれもが適切でないケースもあります。その場合、新しい選択肢を見つけるために試行錯誤に戻ります。それの時間を無駄だとは思いません。新しいエフェクトを試すたびにリスニングスキルが向上するからです。

回答者 Mike Senior(Sound on Sound誌寄稿者)