Southbound

 

久々の作曲。

RidgeRacerみたいな曲を作りたいと思いながらくみ上げていった曲。あんな事もやりたい、こんな事もやりたいと思っていたら、トラックの数が増えてしまった。もう少し、トラック数を減らし統一感を出したい。

 

いろいろなDAWを使用して制作する方法について考えている最中で、今回もCubaseAbletonProtools Firstを使用した。主な制作はCubaseで行いつつ、2MIXの処理等で他の二つを使用する感じ。

 

Protoolsの音像がフリーで使用できるようになったのは感謝しかない。バージョンアップするまで僕の環境ではかなり不安定だったのだが、それも安定した。

 

ラウドネスを-13LUFSに設定したのだが、それにしてはダイナミックレンジが狭い。こういった音楽はそうなりがちかも知れないのだが、もう少しDRを意識ながらミックスに取り組みたい。

 

二次元アイドル各コンテンツごとに”アイドル”の定義に差はあるか?

 アイドルマスター(以下:アイマス)というコンテンツに興味を持ったきっかけは如月千早だった。彼女は「アイドルに興味ありません。」と言った。それから数年後、強く興味を持ったのは所恵美だった。彼女は「アイドルの事はよくわからない。」と言った。アイマスをプレイする中で僕が強く惹かれたのはナチュラルにアイドルを体現する人ではなく、その概念に対して考える中で時間をかけて折り合いをつけてゆく過程を共有する事のできるアイドルである。

 

たまたま働いた会社の考えと合わずに、そこでもがき苦しむ等ということは誰の人生にでも起こりうる事だと考える。ある意味でそういった状況に共感しながらそのゲームをプレイするということさえ十分に起こりうるという事はご理解いただきたいと思う。

 

長らくこのような二次元アイドルコンテンツはアイドルマスターシリーズにしか縁がなかった。しかしながらここ半年ほどTokyo7thシスターズ(以下;ナナシス)に関心を持ち、プレイしている。興味を持ったきっかけこそ”Fire and Rose”という決してアイドルらしいとは呼ぶ事のできないロックチューンではあるのだが、ゲームを進めるにつれとても惹かれたのは芹沢モモカと夜舞サヲリだった。彼女達は「アイドルらしく振る舞う」ということについてのためらいは無いように見える。

 

ナナシスにおいて、アイマスをプレイしていた時とはずいぶん違うタイプのアイドルに興味を持つ事となったため、何がこの違いを生み出したのか自分の中で大きな疑問があった。

 

このふたつのコンテンツを比較した際の大きな違いは劇中世界における”アイドル”に対するオーディエンスの認識ではないかと思う。ナナシスを進めるに当たって非常に重要な点はこの世界が「アイドルが受け入れられていない世界」の物語であるという点である。この世界で人々が求めているものはアーティストであり、アーティストのファンは時にアイドルを強く罵る事すらある。

 

アイマス世界においての”アイドル”についてはよく「我々が住む世界の80年代アイドルブームが終わらずに続いた世界」という記述も見かけるほどにそれが受け入れられている世界である。それ故に多くのアイドル候補生が存在し、アイドル同士でしのぎを削る世界の話である。

 

この二つのコンテンツにおいての”アイドル”を取り巻く環境自体が大きく異なり、それ故に”アイドル”に求められている要素が大きく異なっていたとしてもそれは自然な事ではないかと思う。

 

二次元アイドルコンテンツは今や多く存在している。しかしながら”アイドル”というそれらのコンテンツで共通の単語の指し示す物は必ずしも同じとは限らないのではないかと今回の経験から考えるようになった。それは製作陣にとっても意識的な部分とそうでない部分があるかもしれない。しかしながら、

 

「この世界における”アイドル”とはなにか?」

 

という根本的な問いに対する答えは長く続くストーリーを維持するにあたって、各コンテンツ持ち合わせているだろうと考える。

 

その後の具体的な考察についてここには記載しないが、もし複数のアイドルコンテンツをプレイしながら今回私が経験したような支持するアイドルの特徴の違い等について誰かが気になったときの一つの糸口にでもなれば幸いだ。

所恵美”フローズン・ワード” ~歌詞から読み解くリレイション~

以下の文章は「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!」大阪公演二日目が終わった後に書いたメモを中心にまとめた楽曲フローズン・ワードについての考察である。

 

注意点

この文章は所恵美のみならずその役者さん、楽曲の作詞家さん等の名前も多く登場するものです。表面に出ているもの100%でアイドルマスターを楽しみたい方におすすめできる内容では無い事をご了解の上お進みくださいますようお願い申し上げます。

 

 

何についての曲なのか

この考察において、フローズン・ワードは「恋愛」の曲ではないという前提で進めてゆく。あくまでもこの曲における恋愛は「所恵美」の曲として機能させるため姿であり、その化けの皮を剥がした時に何が見えるのかということが重要である。アイドルマスターにこのような曲は実際多いと思う。全てがそうだとは言わないが、プロデューサーとアイドル、恋愛関係という枠から外してその曲を見ることで新しい側面が見えることがあるというのがアイドルマスター楽曲の魅力の一つかもしれない。

 

 

モチーフ

この歌詞を書くにあたってフローズン・ワードの作詞家、真崎エリカさんは所恵美役藤井ゆきよさん(以下ゆきよさん)のブログを参照したと思われる節がある。ゆきよさんがご自身の経歴について書かれた記事の中にその破片を確認する事ができる。

 

参照

藤井ゆきよの『ユキヨゴト。』

ameblo.jp

 

 

その中に書かれている、ゆきよさんがマネージャーさんにかけられた言葉

 

「夢は口に出した瞬間に半分叶っている」

 

この言葉がこの歌詞に通る一本の筋だと考えている。

 

願いがありながら、口にすることができずに凍りついた言葉。

 

 

「フローズン・ワード」

 

 

歌詞前半部(ギターソロまで)

ゆきよさんのブログを基礎として恋愛の要素を散りばめ、表面を取り繕い、あくまで少女の恋のような印象を受ける。この前半部に関してはゆきよさんのブログが基礎だと考えられる。役者に転身される前のゆきよさんの心情のほうが色濃く出ている歌詞であり、それはを持ちながら、逃げてしまっていた時の感情。これを比喩表現を用いる事によって恋愛の曲として表現している。

 

 

歌詞後半部(ギターソロ以降)

ギターソロの後からその表情が変わってくる。ブログからの引用がされていない印象があり、前半部からの大きな変化としては

 

手渡せない言葉 未完成な言葉

 

Let me know where’s Love…? I know it there’s Love.

 

個人的にこの変化から考えたのは歌詞の前半と後半で主人公が違う(視点が変わっている)のではないかという疑問である。特に”Love”を知らない前半部と知っている後半部の違いは大きい。この視点変更の捉え方として自分が思ったことは今のゆきよさんの姿がここに描かれているのではないかということである。前半部の役者に転身される前の思いを基礎に組み上げられた前半部と役者としての「今」の後半部という目線の切り替えがここで行われている。

 

 

後半部の歌詞を「現在のゆきよさん」として捉えた時にその問いかけ

“Love”を知っているものから知らないものへの問いかけ

「キコエル?」

の相手は恵美か過去のゆきよさんではないか?と考えることはできる。

そして、一人称「アタシ」は恵美を示唆すると考えた場合に、「フローズン・ワード」は

 

ゆきよさんと恵美の関係性を描いた楽曲なのではないか?

 

と考えた。

 

1A~2サビー恵美

ソロ明けー今のゆきよさん

 

そうやって見て見るといろいろ面白い。

 

 

キャスティングの生み出すいびつさ

改めて見ると今のゆきよさんと恵美の組み合わせというのはキャストとキャラとの年齢や人生における段階が大きく異なる。夢があって、それを叶えるために何度も何度もその夢を口にしてきたゆきよさん。今でこそアイドルを楽しんでくれているようにみえるものの、何になりたいのかわからない、プロデューサーに任せると言っていた恵美。根本からなにからが違う。

今でこそアイマスにおけるキャスティングの典型が何かなんてものはないかもしれないが、同年代、人生における段階の似通ったキャスティングではない。

 

「手渡せない言葉」を持つ恵美

「未完成な言葉」を持つゆきよさん

 

その距離を縮めようという願いがありながらも二人の言葉は凍りついてしまっている。

 

階層構造

この解釈は非常に複雑な構造になっていて

 

第1階層ー恋愛

あくまでも恋愛の曲としての表情

 

第2階層ー夢

ゆきよさんのブログを元にした恋愛の相手をとして見る表情

 

第3階層ーゆきよさんと恵美の関係性

1、2をモチーフとして2人にしかわからない関係性を描いた表情

 

がある。

 

1として見た場合には正直に言って物足りないというか、あの自分が3rd大阪2日目に見た物はそんなものではない。ただこれが事実だとすれば、様々なリソースを活用し、含みを持たせながら一本の恋愛の曲として見えるものに仕上げた真崎エリカさんの技法に驚嘆するばかり。

 

2として見た場合にいくつか説明しきれない部分が出てきた。この曲の主人公を恵美としてみた場合に恵美はそもそも「夢」を持っているのかという話。なぜ夢がありながら「このままいる」必要があるのかという話等いろいろ出てくる。

 

英詞以外の根拠は無いのだが、ギターソロ以降視点が変わっていると判断し、3として見た場合が最もしっくり来た。自分があの日見たのはこれだったのではないかと思った。それは人生や夢という隔たりの対岸で2人が互いに呼び合う姿であり、

 

「ここに愛はある」

「ここにいるから」

 

というゆきよさんが恵美を呼ぶ叫びだったのではないか。

 

 

アイマスの歌の力

役者さんの人生を反映させることによって「歌」に力を持たせてきたアイドルマスターの方法論がある。ただ、多くの場合は引用で終わることが多い。この曲の場合ならばゆきよさんのブログを元に「夢」という対象を「恋」にした段階で終わる事が多い。

この詞においてはこの引用した内容を更に置換して「キャストとキャラクターの関係性」を表現し、より複雑に力を持たせた歌詞として取ることができるのではないか。その場合、アイマス楽曲において最も残酷な構造なのではないかと思ってしまう。

 

“歌い手が今と過去の自分そして、恵美との関係性に必然的に向きわされる曲”

 

これがフローズン・ワードの姿なのでないか。

 

 

契約

この歌詞(解釈)において重要な点は、この作詞に使われたリソースが100%ゆきよさんから来ているということだ。つまり、この歌詞の前半部分を恵美とした場合にこの歌詞のリソースがゆきよさんのブログであるがゆえに

 

恵美の弱さ=昔のゆきよさんの弱さ

 

になったのではないか?ということが考えられる。

 

「所恵美というキャラクターの人格にゆきよさんの人格を組み込みます」というある種の契約を示した歌詞。その上で、両者の間を隔てる「壁」として存在するフローズン・ワード。この構図がこの曲の残酷さの様に見えてならない。

 

我々には3rdツアーにおいて2度この曲を見る機会があった。

 

「ここにいるから」

 

そう叫んでいるのは恵美ではなくゆきよさん本人であり、その手を伸ばした先に恵美がいる。この曲の解釈が大きく逸れていなければ、フローズン・ワードは登場人物が二人の「劇」であると呼べるのではないだろうか。

2016年ブラックフライデーで購入したもの

 

音楽周りのプラグインセールも一段落したような印象なので、何を買ってどのように現在使用しているかをまとめてみようと思い、記事を書いてみました。

 

Waves Manny Marroquin EQ

以前から気になっていて、信じられないような安さで売られていたので、ちょっとデモを試してすぐに購入を決めた。高域バンドが目当てだったものの、いざ使い始めてみるとLo、Lo Midのカッティングに非常に有効だと感じた。今や、メインの役割はそちら。特にシンセ、リバーブのマッドな帯域をスパスパ切ってます。

もちろん高域もいい感じ。さっさっと音を作るEQとしてはこれまでWaves API 550を多用してきたが、その役割の大部分を今はこちらでやっている。

ただ、全部の帯域Onにすると、若干暑苦しい感じはする。

 

 

elysia nvelope

アタックとリリースでそれぞれ別の帯域をコントロールすることができるプラグイン。ドラムサンプルを処理するときに、EQを極端には使いたくないなと常々思っていて、それでも調整しなくてはいけないときは仕方なく使ってきたのだが、これを購入してからドラムス周りの音作りが大きく変わったと思う。

特にキックドラムはプリセットのKick Boosterをベースに調整すると、アタックだけいらない部分を取り除き明瞭になり、リリースの太い帯域をブーストすることでサンプル全体で個性が強調される。

今はドラムサンプルはだいたいこれを中心に処理している。

 

Slate Digital FG-Bomber

エキサイター、トランジェントコントロール、ステレオエンハンスメントなど複数の役割をまとめてやってくれるプラグイン。何が起こっているのか分かりにくい分、敬遠されがちかもしれないけど個人的にこういったプラグインは好き。

とりあえず入れて、合えばそのまま使えばいいし、合わなければ使わなければいい。アナログっぽい処理をするプラグインとして同社のテープシミュレーションプラグインが気になっていたのだが、僕のマシンスペック等を考えたときにあまり現実的とは言えなかった。こちらは負荷は軽めだったこともあり購入した。

 

特にワイドに使いたいシンセやシンセベースに使用することが多い。分かりやすく派手になってくれる。ステレオチャンネルにこのプラグインを使用すると、音像が広がるのだが、その分著しくセンターの印象が弱まってしまうので、使うか使わないかはケースバイケース。広がった方がむしろいいソースには積極的にこれを使っている。立ち上げてみて、3つのアルゴリズムの中ではまるものがあれば使う、無ければ使わないという潔さが大切かなと思っている。Slate Digital VMRを立ち上げる機会が増えた分、同社よりフリー(要iLok)で配布されているRevivalやThe Monsterの使用機会が増えたかなという印象。

 

いちいちそれぞれのプラグインをいくらで購入したかは書かなかったが、全部で$100-も使わなかったかなという2016年のBFホリデーセールでした。2015年はVSC-2やVSM-3みたいな定番といっても過言ではないようなプラグインの購入が中心だったものの、2016年は言ってしまえばクセのあるプラグインを購入したという印象。「こういう音にはこれ」といった、より限定的な用途のものを増やしたことで、MIXがより良くなればいいかなと思っております。

 

 

神様のBirthday 2016Holiday Remix

 

久しぶりにニコ動に投稿。今年のBF~ホリデーセールで購入したものを試しながらリミックスをしていったプロジェクト。セールが落ち着き次第、今年購入したプラグインについてまとめた記事を書きたいと思っているところ。

 

 

Boz Digital Labs The Wall

最近お気に入りのリミッターに出会ったので、まとめてみました。

 

 

Boz Digital LabsのThe Wallです。フリーのデモもあるのでDLしてみてください。

http://www.bozdigitallabs.com/product/the-wall/

 

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はじめに

あらかじめお伝えしておきたいのは僕がダンス系、Hip-Hop系の音を好んで作ること、オーケストラやバンド系の曲は(その要素を使用することはあっても)ほぼ作る機会が無い人間ということです。様々なスタイルによって、好みは多々あると思いますので念のため。

 

Smooth and Aggressive

面白い機能がたくさんあるリミッターで、まず特徴的なのがSmoothモードとAggressiveモードがあること。

二つのモードの比較用の音源を用意してますので比べてみてください。The Wall以外のリミッターとの比較のためにInvisible Limiterをかけたものも準備しました。リミッターに入れるまでのセッティングはすべて同じで、RMS最大をCubaseのメーターで-9.6dbでそろえてあります。リダクションは1db程度です。そんなに激しくかけていません。オーバーサンプリングは×8、ソースはHip-Hop系のトラックです。

 

The Wall Smooth

 

The Wall Aggressive

 

Invisible Limiter

 

 

マニュアルによると、Smoothはどちらかというとあまりパーカッシブではないソースに適しているようです。今回のソースにおいてリミットしなくてはならないのはキックの音なので、どちらかというと適していないモードのようです。確かに、他のものと比べるとSmoothにかけたものはキックの音量感が弱くなっているような気がします。一方で、ソースの空間の感じは最もキープしてくれています。

 

Aggressiveはよりパーカッシブなソース向けのようで、リミットするべき対象がドラム、パーカッションだった場合においてより適したモードのようです。3つの中で、最もキック、スネアの印象が強く出ているように感じます。一方で、空間の感じは失われているようにも感じます。また、後半部のリード音が入ったときにディストーションの感じがきついです。この辺りはトレードオフ、というか好みの問題なのでしょうね。

 

大変、個人的なことを申し上げると、今回のソースに関してはSmoothのほうが好きでした。サイドの印象が保たれていることと、この音源に関してはそんなにキック、スネアがでかくなくてもいいと思ったのが理由。

 

Flavor機能

ソースにより適したセッティングにするためのモードです。アナライザの下にある横スライダがそうですね。左に動かすほど、リリースが遅くなり、よりコンプレッションがかかるようです。逆に右に動かすとリリースが早くなり、よりディストーションがかかるようですね。今回はいずれも50%でセッティングしています。かかり方の印象が替えられるのは非常に便利です。

 

 

MFiT機能

これがめっちゃお気に入り!!DAWでそのまま圧縮フォーマット(mp3, aac)で書き出すときに、書き出した波形を後から見てクリップしていることは結構ありますが、これはそれを防いでくれます!!MP3で書き出す機会も多いのでほんと助かる。

使用する際はOutputを-1dbにしてオーバーサンプリングを×8に使用します(右上のMFiTボタンをおすと自動的にそうなる)。試しにCubaseのメーターでRMS最大-7dbくらいになるまで入れてみましたが、しっかり-0.3dbで止まってました。他のリミッターでこれくらい入れてmp3で書き出したら間違いなくクリップしてると思うのですが、安心して(音圧を上げたい方は)上げることができます。

 

 

最後に

こんな記事を書いてる人間が申し上げるのも何なのですが、僕自身はリミッターにがんがん突っ込むのがあまり好きではないのです。RMS最大値も-10dbもあれば十分だろうと思ってます。しかし、これは自分の好みでした。特にMFiT機能は重宝するだろうと思います。あとは2MIXの最後ではなく、制作の際に各トラックにインサートしてみたのですが、それも良かったです。原音のに対しての忠実さで言えばInvisible Limiterのほうが優れているのではないかと思ったのですが、The Wallの嘘くさい感じがシンセに入れてたときにとっても良かったです。また、オーバーサンプリングを×8まで上げても軽いです。